
製造業リーダー達との懇談会 PDCAのC

もくじ
本音を聞いて分かったこと
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一人ひとりがイキイキと働いてもらいたくて、職場の人間関係を改善するために、鍵となる組織のトップとリーダー達との面談をすることで、分断されてしまっているコミュニケーションが少しでも取れるようにとの思いで、職場のリーダー達との懇談会を実施しているが、ここでPDCAのCに直面することと相成った。
それは彼らリーダー達の本音を聞くことができたからだ。彼から出てきた言葉は、
・何か話せって言われても話すことはないですね
・聞かれたことには答えるけど、それ以上のことを話すつもりはない
・話す際には、建前90:本音10くらいの割合じゃないですか
・本当に話さなければならない緊急のことは話しますが、それ以外のことは話しません
という内容だった。この状況で面談をやれと言われても、かなり苦痛な時間をお互いに過ごさなければならないだろう。ぶっちゃけ、やる意味あるの? といったところだ。彼らのためと思って企画して取り組んでいることが、お節介だったのかなとも思えるようになった。
なぜ、このような考え方になってしまうかというと、上司との1対1で話す面談というのは、ホウレンソウとは違って、かなりプレッシャーが掛かるものだという認識を、私が持てていなかったのが原因だと痛感した。
私は新入社員から40歳までいくつかの組織を経験して、組織とはというものは肌で経験している。思ったことを言いにくい雰囲気や、公の場で本当のことを言ってしまうことへの恐怖とか、それなりに心得ているつもりだった。しかし、私は我慢できないことや、秩序が乱れていたり、みんなが嫌気をさしている状態が好きではないので、その時には上司に時間を取ってもらって、自分の思いを伝えて解決策まで提示していた。
だからみんなそうしたいと思っていると思い込んでいた
彼らの考え方の根底には
ところが、今回リーダー達との懇談会で組織に所属している人たちの考え方を聴いていると、みんなが思っていることは自分とは別物だということが分かった。彼らの考え方をまとめてみた。
・嫌なことでも自分が受け入れることで波風を立たせないようにする、でも限界がある
・他の人や他の部署に対して言いたいことがあっても言わないで我慢する、あきらめる
・気が付いた自分が手を出すけど他の人には強要しない、手を出さない人には腹を立てる
・上司に言いたいことがあっても言わないで我慢するが、限界がきたら爆発する
・そもそも上司に面と向かって何か言うということは、積もり積もった文句を言うときだ
・今までも、そしてこれからも組織の中で仕事をしていて上司と軋轢を生みたくない
・上司に本音をぶつけて、そのあとずっとにらまれることだけは避けたい
このような考え方を持っているリーダー達に対してこのように思いました。
何か思っていることを話せというのは、無理がある
このような状況だということが分かったので、ここはPDCAのCの時だと思いました。
面談にかかる参加者の負担
ここで改めて面談を行う人たちにどのようなストレスを与える環境なのかという観点から調べてみました。
・1対1であること
・密室であること
・上下関係が存在すること
私は面談を行うことによる将来のメリットばかりに目を向けていましたが、肝心のそれを行う人たちが感情を持っていて、彼らがどのように考えて行動しているのか(行動していないのか)までには思い至りませんでした。
組織の中で仕事をしている立場で、思っていることを押し殺して我慢を長期間続けている方々にとっては、上記の環境は、今のままではストレスを感じてしまうのかなと思いました。心理学的に言うと「転移」(過去の体験が再現されて陥ること)を起こしてしまう環境にも成りうるとのことでした。
この文章を読んでいただいている方に誤解をしていただきたいのは、面談を行うことが悪いことではなく、その環境が整っていない状態で無理やりやろうとすると、表面的な話に終始するだけで、面談の席に座った目的も理解しないまま、次に行うときには、仕事が忙しいからと理由をつけて拒否するということになる可能性がある、と言いたいのです。
改めて考えた面談が成立する環境とは
まずは、お互いが何を言ってもいい状態で、将来的にお互いの人間関係に悪影響を及ぼさないことを合意していることでしょう。言葉で言っているだけではなく、本当にそのような関係性が担保されれていることが重要です。これについては心理的安全性の記事をご覧ください。
そのうえで必要なことを列挙してみました。
準備
・上司側のトレーニング
☞傾聴トレーニング、部下の話しを遮らずに聞き続ける、コーチングの技術はあるに越したことがない
・部下側の準備
☞上司に話をすることが、自分にとってどんなメリットになるのかを考えて整理しておく
話さないことも決めておく
面談時
面談時のルールを決めておく
・面談時間は15分程度の短時間ですます
☞万が一話し足りなかったら時間を延長するのではなく、次の機会を設定する
・黙っていてもいい
☞上司が無理に促さない、沈黙を破らない
ホウレンソウの場面ではないので報告することがないこともありうる
終わってから
・部下側からの無記名のアンケートを提出させる
☞終わってからの上司について
嫌ならもうやらなくていい
ここまで書いてきたことは正しいかどうか分からない。その理由は、面談をするのは私たちではないからだ。
組織開発とは組織に所属する人たちが、みんなが感じているがなかなか解決しない複雑な問題を自分事としてらえて、自分が行動することで少しでもいいほうへもっていく、と認識している。
彼らと共に試行錯誤しながらあきらめずにかかわっていくうえで軌道修正をしていこう。