PM理論でシンプルに考えてみる

PM理論でシンプルに考えてみる
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リーダーシップ論のひとつである、PM理論

企業に組織開発をベースにした人材育成を提案する際に利用しているのがリーダーシップ論のひとつであるPM理論である。組織の現状や求める姿を見た目で示しながら考えることができるので、利用価値が高い。非常にシンプルで、大概の組織に当てはまっているのではないだろうか、と経験上思う。

私は理論としてではなく、現状の組織の姿もしくはリーダー個人のリーダーシップの姿勢もしくは評価、現状把握など、いろいろ利用させてもらっている。

ちなみにこの記事を書くために参考にさせて頂いたサイト
・「PM理論に関しての解説」(立命館アジア太平洋大学 篠原欣貴教授)
https://note.com/i_partners/n/n1ec986a71192

PM理論を分かりやすく解説している別のサイト
・「PM理論by三隅二不二」(アースシップ・コンサルティング 松山淳氏)https://www.earthship-c.com/leadership/pm-theory-of-leadership/

ある企業での人材の変化をPM論で表すと…

先日、数年前から組織的に関わらせてもらっている企業で、働いている人たちの数年にわたる変化をPM理論でとらえることができてしまったので、書き残しておきたいと思う。今後どのように自分が関わっていくのか、自分の変化とその方々のこれからの変化をアーカイブとして残せればと思っている。

さて、その企業がリーダーに求めるのはP面である。

P” とは “Performance” (パフォーマンス)を意味し、リーダーシップが発揮されることによって集団目標が形成され、それが達成される機能を意味している。この企業ではP面を発達させるよう力を尽くしているし、時間とお金も掛けている。評価制度もP面の評価点数が高いし、なにより組織の文化が「仕事ができる人が偉い」という絶対的な文化がある。

一方、”M” は “Maintenance“(メンテナンス) を意味し、集団の社会的安定性を維持する機能とされているが、この企業ではあまり重視されておらず、評価項目の比重は低く、何より「仕事中に人と話をする時間は最低限にするように」という暗黙のルールがある。

一般的にリーダーに求められるのは、P面もM面も両方必要であると言われており、その理由を金井壽宏教授が リーダシップ入門. 日経文庫で下記のように書いている。

たとえば、試合に勝ち進むことをめざしたサッカーチームなら、勝つために気合を入れる、練習の方法を工夫する、ミスに負けたら叱る等々の監督の行動がP行動だ。・・・スランプに陥ったときには悩みを聞いてあげたり、選手を我が子のように大切にしたり、ときにはいっしょにパーティーではしゃぐことも大事だろう。それらを促進する監督の行動がM行動だ。

引用先)金井壽宏教授著:「リーダシップ入門」 日経文庫

そぎ落とされたMの側面

さて、数年前、この企業で年齢も今までのキャリアも異なる中途採用者3人に、研修で出会った。最初は明るくて学習意欲が高く、組織の中に入るとM面の良い潤滑剤になるような人たちだな、と感心していた。

その後研修で1年に数回出会う機会があったが、出会うたびにM面がそぎ落とされていくのを肌で感じていた。

先日、再び研修で出会ったが、すでに最初の時の快活さや明朗さは影を潜め、研修会場に座っているだけという存在となっていた。研修の後半で、ケーススタディとしてある職場の問題点と改善点を発表される演習を行った。その発表の質の高さに驚かされた。そこまで望んでいないという領域まで踏み込んで発表をしたからだ。

この組織においては、M面をすべて失ってP面を吸収しつくした、と感じた。金井教授の例で言うなら、

サッカーチームに入部したころはサッカーの技術は無いけど、明るくて周りを和ませる役周りだった新人選手が、最後は自分の力で豪快にシュートで点を入れることができるスーパーエースに育ち、周りの人たちを見下す天狗になった

という印象だった。

組織の中で人は変わっていく

人間の本質は変わらないのだろうけど、組織の中での育成にかかわっていると、その組織の中で人間が変わっていくことが強烈にインパクトを覚える。

組織が人を育てる、という言葉があるが、組織が人を変える、という言い方もあるだろう。 会社は何を望むのか?個人はそれに対して変化をどう受け止めているのだろうか?
私自身は、“人が変わる、どのように変わる、それに携わることで学び続けよう”と思う。

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