リモート研修

リモート研修 集合・複数拠点編

先日、ある企業との人材育成の検討をしていった結果、リモート研修を試しに行ってみようという運びになり、そのプロセスを書き残しておきます。これからの自分のためと、この記事を読んでいただいた方が、今後の人材育成の一助となってもらえればとの思いです。

この記事を書いているときは(2020年9月22日)、コロナ禍の第二波が収まりかけて4連休もあり、日本中大勢の方が近場に出歩き束の間の息抜きをしている最中です。このままコロナ禍が収束してくれればいいのですが、専門家によるとこの人手により感染が広まり、秋から冬にかけて第三波がくるとの予想もあります。このような状態が続くと、人を集めて行う人材育成である研修が、いつまでも開催できなくなり社会人の学習する機会を奪ってしまうことになります。

そこで、今のうちにリモート研修を体験しておき、このような人材育成の方法に会社全体が慣れておくといいのではないでしょうか。

今回の企業の特徴を下記に記します。参考になるところがあればぜひ記事を読み進めてください。

・中小企業の製造業
・3工場に拠点が分散している
・各工場には会議室があり、PCが備わっている

0.私のリモート研修のスタンス

・対面で行われていた定期的な行事としての(底上げ・全員にといった言葉で表す)集合研修を一歩進めて、能力開発としての面を強くすることが出来ないか

・コロナ禍だけでなく、多くの人の時間を束縛する時間をできるだけ少なくして、その分を個別に事前学習で補うことが出来ないか

この方式は平成30年ころから厚生労働省で、これからの研修の姿として提示されています。

(参考:厚生労働省発行 職業訓練サービスガイド研修チラシ)

1.概要

・3工場同時に受講できるよう通信環境を整え、1工場の参加を最大4人としました

・対面で行う研修3.5時間のカリキュラムを2日間に分け、1日目1.5時間、2日2時間としました

ねらいは集中力が維持できる時間を考え、1日の研修時間を短くしました

・事前学習として動画を作成し、研修では集合しなければできないグループ討議および実演の時間を多くとりました

・受講者および講師に、それぞれ通信およびパソコン操作などのサポートについてもらいました

ねらいは、研修に集中できるために

<< イメージ図 >>

2.準備、打ち合わせ

・対面で行う研修をどのようにリモート研修に移行するかについて、企業側からは研修の責任者、総務の担当者および社内インフラの担当者と打ち合わせを行い、

重点ポイント

・受講者の学習意欲を満たすことと、集中力を切らさないようにする

そのために

受講時間を短時間にする

1工場の参加者をできるだけ小人数にする

通信が不安定になったときの対応に、サポートの人についてもらう

声が聞こえにくかったり、絵や文字が見えにくくないよう、事前にテストを行う

などの打ち合わせを行い、受講時間、サポートの人及び役割、各工場の通信環境及びカメラ、マイク、モニターをそろえてもらうようにした。問題としては、1回の研修準備に掛けられる費用には限りがあるので、できるだけ今ある物を利用することが前提となったため、最上の環境が整わなかったが、ともかくリモート研修を行うことを優先に準備をすすめてもらった。

3.設備と人員

新しく機材を購入せずにあるものを利用して準備をしてもらった設備をまとめた。

通信は、Zoomを使用した。

( 設備・人員の配置一覧)

拠点 受講者 サポート PC カメラ マイク モニター
A工場 3名 1名 ノートPC Webカメラ ヤマハ
YVC-200B
テレビ式
B工場 2名 1名 ノートPC 内臓 内臓 プロジェクター
再生
C工場 4名 1名 ノートPC 内臓 内臓 プロジェクター
再生
主催
ミラクス
講師1名 1名 (講師)
デスク
トップPC
(サポート)ノートPC
WebカメラロジクールC920n ヘッドセット
ロジクールH151R
モニター用PC

・B工場とC工場にはテレビモニターが無かったので、ノートPCからプロジェクターを通して講師の顔や、共有画面及び他工場の人たちを、壁に映して見てもらった。プロジェクター画面を見やすくするために、部屋の明かりを若干落としたため、受講者の表情が暗くなってしまった

・更にノートPCに内蔵されているカメラとマイクを使用したため、受講者が全員カメラに入ることを考慮するとパソコンと受講者との距離がだいぶ空き、その結果、表情が見えにくくなった

・受講者の声が部屋の中で反響して、ほとんど聞き取れなかったので、発表するときにはパソコンの前まで来てもらい、話させた

4.事前学習

◆目的:リモート研修時の通信環境などに影響されずに、また、一人でじっくり事前に見てもらい受講者の学習に役立たせるため

◆動画と資料:事前に講師側で作成した動画をyoutubeにアップしておき、先に送付したおいた資料(冊子・手引き)を見て学習してもらう。youtubeは限定公開として、リンクが分かる人のみ見ることが出来る。

◆注意:受講者がどのようなデバイス(パソコン、スマホなど)で見るのか分からないため、小さい外面でも

ある程度わかるような、大きな動作が入るように撮影した。

(動画一覧)

ファイル名 視聴
時間
内容 Youtube URL 小冊子
1.最初にご覧になってください 1分40秒 動画の前提を語っています https://youtu.be/・・・・・
2.

・・・・・・・

1分41秒 心の準備のさせ方 https://youtu.be/・・・・・ P25-26
3.

・・・・・・・

5分25秒 見せ方 https://youtu.be/・・・・・ P26-27
4.

・・・・・・・

4分25秒 相手のアウトプット https://youtu.be/・・・・・ P28-29
5.

・・・・・・・

1分20秒 後フォロー https://youtu.be/・・・・・ P29-30
通し 12分49秒 全部を一気に見る https://youtu.be/・・・・・ p25-30

 

5.リモート研修本番

◆カリキュラム

1日目 内容 手法
1 9:30-9:45
15分
ズームでの通信環境の確認、工場のやり取り確認(写真①)

自己紹介など

2 9:45-10:15
30分
動画を見て

・受講者同士の意見交換(特徴、気づいたことなど)

・各工場別発表 (写真②)

 

受講者同士

3 10:15-10:45
30分
・動画の内容解説 (写真③)

・受講者からの質問回答

講義
10:45-11:00 15分 明日までに取り組む課題の説明 講師から

 

1日目の課題 職場で課題を作成する

※講師に提出

2日目 内容 手法
9:00-10:00
60分
課題に対して講師が解説
追加動画
個人ごと修正
講義

個人指導

10:00-11:00
60分
各工場で、実演(3工場同時)(写真④)
受講者の感想
講師からの批評
※研修終了後サポートの方と振り返り(写真⑤)
受講者同士

講義

 

( 講義風景 ) ※zoomの撮影機能から

写真① 受講者との意思疎通が図れるように、手の上に〇を作ってもらい
ボディ・ランゲージで会話を行いました。

受講者に〇で意思表明をしてもらう写真② 集合リモート研修だと、受講者とマイクまでに距離があるのと、マスクをして
聞き取りにくいので、マイクの前まで代表にきてもらい発表してもらった。

 

写真③ 画像にぼかしを入れているだけではなく、プロジェクターで再生した画面を
見るために、部屋を暗くしているため、受講者の表情が見えにくい

表情が暗くて読めない写真④ 2日目は、各工場で実習を行ってもらった。集合研修の利点を活かすために
受講者同士の交流を図るためだ。後の感想にもでてくるが各々のことが分かり
良かったとの感想があった半面、講師(画面の左下)は、画面で映っている
ところしか分からず、声も判別できないので、正直に言うと何が何だか
分からない状態だった。対面で行う研修では、実演を行っている受講者の
横まで言って、適時介入して理解を深めたり、マンツーマンでの気づきを
与えるのだが、それが出来なかったので手持ち無沙汰だった。

実演の風景写真⑤ 2日間とも研修終了後サポートに入ってくれた方々に残ってもらい、振り返りを
行った。それぞれ的確なコメントや前向きなコメントをもらった。間近で研修の
運営に携わった貴重な体験は、この方々の成長につながることだろと確信した。

終了後、サポートの方の振り返り

☆研修で気づいたこと(リモート研修では難しいこと)

・講師が受講者の個別化が出来ない。受講者のコメントや雰囲気が識別できないため、対面の研修では、研修で蓄積されていく情報が個人ごとに区別されていき、受講者がキャラクターとして認識されていくが、リモート研修ではそれができないため、受講者と話す際に、常に初めて接するように(今までの発言や事前に提出されたレポートが事前情報として役となさない)話してしまう。研修時間にゆとりがあり、一人一人と充分に接する時間があれば、可能なのか、私の能力の問題なのか。

なので、研修宇終了後、受講者の〇〇さんはどうでしたか?と聞かれた際に、今までは研修で発せられた発言や行動を分析して、研修講師としてコメントができたが、リモート研修では難しい。

6.振り返り、感想

(サポートの方からのメール抜粋)

大きな問題もなく、無事に終える事ができて、本当に良かったです!もう少し、何か混乱するかなと思ったのですが、スムーズでしたね。

オンラインでの開催についての感想になりますがdoor to doorのような感じで時間を有効に使える利点、かなり感じました。(受講者も何人か言っていました)ギリギリまで、仕事をしていて、終わったらすぐ仕事に戻れる。移動時間や会場入りに余裕を持って行動する事って結構なストレスなんだなと痛感しました。

マイクやカメラによるストレスについては講師のようなヘッドセットのマイクは、さすがクリアでした。

工場側では、発表時に第二・第三のマイクがこもってしまって聞き取りにくいかなという場面がありましたので

マイク機器の初期導入に多少費用がかかっても、そこは相当に快適になると思いました。

心配していたモチベーション・集中力の維持について個人的にはそう問題なかったように感じました。

時間が2Hと短い事も非常に良かったのかなと思います。

内容については、特に、2日目の実演時間が良かったと思いました。同じ会社や同じ工場内でも、他ラインの仕事はあまり知らないようで、内容に驚愕しているやりとりや、こんな面倒なの?もっと簡単にできないのかねぇというディスカッションする時間を取ることができ、普段気づけない事を考え、気づきの機会になったように見受けられました。どう伝えたら、伝わる?と考えながら、実演していましたよ。

オンラインだと表情や反応が分かりづらい、というところがやりづらいところかと思いますが、手でマルをつくって意思表示する、とか身体を使った表現を増やすなどで楽しい感じのコミュニケーションがとれるんですね。

講師の方で、録画して頂いたZoomデータについてはまとまりましたら、共有頂ければと思います。

<村松感想>
サポートの方の協力は本当に心強かったです。画面の向こうでは何が起こっているのかほぼ見えないため、研修中にもサポートの方からチャットで知らせてくれて助かりました。何よりもサポートの方も研修で学びながら、社員の学習に立ち会うという貴重な経験を通じて得たものがあったようです。 

7.企画が可能なリモート複数拠点研修の種類

個別研修(テレワークなど) 集合研修(企業内会議室)
識別名
事前学習 〇(動画など) × 〇(動画など) 〇(動画など) ×
当日動画など
サポート × × × ×
1拠点受講者 1名 1名 3~4名 3~4名 3~4名
Web会議用

スピーカー

× ×
モニター PC画面 PC画面 テレビ式 テレビ式 プロジェクター
学習効果 高い 高い 高い 期待できる 意欲による
研修時間 極端に短い 短い 短い 短い 長い
企業側負担 × × ×
村松判定

この企業では、表のCタイプに近い形で行うことができました。

3拠点のうち2拠点がプロジェクターで画面を見て、カメラ内臓のマイクだったため、「よく聞こえなかった、良く見えなかった」という受講後の感想があったのは、企業の都合で仕方がなかったでしょう。

最初に考えたように、これから社員の人材育成はまとまって行う底上げの教育方式である社員研修を残しつつ、時代の急激な変化に対応できる多様性を養う意味でも、個別に学習できることを促進する小人数式もしくは個別学習との両立にチャレンジしていく方向だと感じました。

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