主体性をもった若手社員に育てるヒント

業界業種問わず、若手社員にもっと主体的に働いて欲しいと思っている上司は多いだろう。主体的に働くとは、指示されたことは言うに及ばず、やらなければならない仕事をすませたら自分に何ができるのかを考え先輩に自らたずねて自分のできる仕事を率先して行う人のことです。

企業の人事担当者及び現場の責任者に尋ねると、若者社員に求める能力として最初にでてくることが主体性です。
最も若者の社員に求められている主体性を身につけることについて明らかにしていきます。

もくじ

自立も自律も必要

「主体性」とは、ずばりいうと自分の意志や考えで行動することをいいます。仕事においては、指示待ち人間ではなく指示がなくても自ら進んでできる仕事を探して行おうとする態度のことです。

指示がなくても自ら進んで仕事を探して行うためには、その人のマインドには「自立」と「自律」が必要です。

自立」とは、自らを立たせることをいいます。
目の前の仕事のことを自分事ととらえ責任感を持ちながら取り組み、仕事をし終えたときには達成感が得られる、自分の中から湧き上がってくる意欲を自分で燃え上がらせることです。

自律」とは、自らを方向づけることです。
経験や体験に中から自らの考え方や価値観を育て上げ、その価値観を軸にして考え方や行動のもとにすることです。自律している人のことを軸のある人間だといわれます。

自らの考えを素早く行動に起こせる主体性を発揮するためには、「自立」も「自律」も必要ですし、両輪だと考えてみるといいでしょう。

順番としては、若手社員はまずは上司や先輩社員に指示された仕事をこなしたうえで、空いた時間に自分で考えたことを上司や先輩に許可をとってから行動に起こす「自立」をする。そのうえで、多くの経験から自らの仕事に対する考えや価値観をつくりあげ「自律」して業務に取り組めるよう心がけていきましょう。

自らを導く、セルフリーダーシップ

セルフリーダーシップとは、若手社員が主体的に動くためには決めた目標に対して、自分で自分を鼓舞して、自分の行動や時間を管理し、あるいは制限をかけて達成に向かっていく姿勢のことです。

「30歳までに職場のリーダーになる」や「もっと仕事をしやすい環境になるよう提案する」など、若手社員は具体的なまたは抽象的な目標を描いているものです。
そのような若い時の夢や目標は、いつか忘れてしまうものですが、社会人経験の早いうちから自らが建てた目標を設定してそれに向かって行動することができると、若手社員は主体的に行動ができるようになります。

主体性発揮のための「モチベーション」

若手社員が主体性をほしいと思うのは会社の都合でもあり、本人のキャリアのためでもある。やらされ感からは主体性は生まれません。若手社員が自分のための仕事だと思えるようになるためのやる気を上げるためのスイッチが、モチベーションです。

さて、このモチベーションスイッチをオンにするには、人ぞれぞれ違いがあります。
例えば、仕事内容やそれに対する評価、給与、待遇、社内の人間関係、などが一般的には挙げられます。

最近では、自分の個人の活動にプラスの影響があるスキルなのか、とか、個人の事情があるので定時で自分の仕事が終わることができるよう工夫が許されるのかなど、仕事一辺倒ではなく個人の時間とのバランスが取れることが、仕事へのモチベーションにつながるということを実際の何人もの若手社員から聞いています。

もちろん、従来の社会人のように自分の能力が上がり、それが上司や先輩から認められ、次には難しい仕事を任されるようになり、自らのキャリアの成長を実感でき、給与や待遇といった環境面が良好になっていくと、もっと自主性へのモチベーションアップにつながります。

主体性を生み出す「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」

  • 「内発的動機づけ」とは、自分の内面から生み出されたやる気の基になる力のことです。
  • 「外発的動機づけ」とは、他人からなどの外の刺激からつくり出された行動の基になる力のことです。

さて、どちらが若手社員の主体性を生み出すでしょうか。

この記事を読み進めていただいた方には正解はお分かりでしょう。そうです「内発的動機づけ」ですね。主体性とは自らが考えて行動をすることですから、他人からあれしろこれしろと指図されて動くこととは真反対ですよね。

しかし、現実的な仕事場の環境はどうでしょうか。

それほど知識や経験がなく上司ほどには視野が広くない若手社員に組織内がいて、彼も一人工(いちにんく)という工数でカウントされ、それに基づいた生産数や稼働率を求められている現実で、内発的動機づけをどの程度行えるのでしょうか。工程を任されたリーダーとしては、外発的動機づけで、彼が最も効率よく得意な仕事で成果を挙げてもらえるように、あれしろこれしろと指図をしてしまうのではないでしょうか。

育成とは難しいものですね。焦らずに結果をすぐに出そうとせずに、じっくりと取り組もうと腹をくくれば、その心の余裕から内発的動機づけが自然と与えられるアプローチができるかもしれませんね。

研修で行っている、若手社員に主体性を持たせるアプローチ

さて、私たちの研修では受講者の成長のために、研修中に主体性を持たせるような、様々な工夫をしています。
受講者にはそのことを告げませんが、受講レポートなどを拝見すると、自分で考えることについて効果があったことが読み取れます。研修でのアプローチになりますが、もし皆さんの職場での若手社員へのアプローチの参考にしていただけると嬉しいです。

押し付けない

研修では“講師から答えを教えてもらう”という姿勢の受講者がほとんどですが、それでは主体性をもって研修を受けることができないので、受講者に投げかけます。
何人かの受講者から答えが返ってきた時、私はその答えを否定しません。どんなに「?」と思うような答えでも。
主体性のある学びは何か、と常に意識しているからです。

研修講師という圧倒的なパワーを持った相手が、せっかく答えてくれたことに対して否定してしまうと、次からその受講者は何とか正解を言わなければと固くなって、自分の考えを言わずに、一生懸命正解を探し出して答えようとしてしまうのです。それは、聴いたことを反復するロボットであって、主体性のある学びではないと考えます。

「そんな優しく受講者に接しては困ります。もっと厳しく『何が正しいのか』をキチンと伝えてください」と企業の担当者から言われた事もあります。その時にはそのオーダーを受け入れますが、私自身の主体性のレベルが少し下がっているかも知れません。

座席を決めないで自由に着席させる

研修ではたいていどこに誰が座るか、もしくは誰がどこのグループが決まっています。それは進行の都合でより学習効果を高めるために、いろんな人たちを一つのグループに集めるということを意図しているからです。

ところが、何回か継続した同じ受講者で行う研修では、最初のうちは受講者同士が、その人となりを知り合うためにグループを指定して着席してもらいますが、途中からは自分たちで席を決めてもらいます。

すべてが指示されるものと思い込んでいるところから、“自分で考えていい、判断していい”状況を理解すると、とたんに受講者が生き生きとして、研修に主体性をもって参加してくれる空気感を感じています。

ホワイトカラーの企業の徐々に取り入れられてきたフリーアドレスも、主体性を促進するということも目的なのかも知れませんね。

答えがない問いを考えさせる

通常ではありませんが、企業の研修ニーズや受講者の雰囲気をみて、答えがない問いを考えて発表してもらうことがあります。

受講者が一様にとまどいの表情を見せますが、年齢が若い社員は比較的すぐに理解して、自分たちでいろんな考えを想像力たくましく語り始めます。逆に役職が高いとか、経験が豊富な社員は、何を話したらいいのか分からず、なかなか話の中に入れないことがよく見受けられます。

研修講師の私に、何を話せばいいのかを聞き直してくる人もいます。
自分で考えて行動することが主体性の発揮ですから、できていない若手社員のほうが、主体性を発揮しやすい状況は、業種を超えて、様々な企業での研修風景です。

まとめ

若手社員に主体性を持たせるためには、若手社員にどのような環境を整えて、それを取り巻く他の先輩社員のアプローチの仕方が大きく影響してきます。
若手社員を育てるということは職場全体が成長していくということになります。

しかし、人はすぐには成長しません。ましてや組織の成長には時間が掛かります。若手社員が若手のうちから、将来の組織の核となるリーダーを育成していくつもりで取り組みましょう。

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