令和の時代に企業が人材確保のために取り組まなければいけないこと

中小企業が人材確保のために今取り組むべきこと

ミラクスの村松です。

2022年11月4日に富士宮市役所で富士宮市主催の「令和4年度労働環境改善講座 人材確保&育成による業務効率向上セミナー」にて登壇してまいりました。
今回はそこでお話させていただいた内容の一部をブログにさせていただきます。

もくじ

人手不足は今後さらに深刻になる

既に周知の事実ではありますが、日本の生産年齢人口は年々減少する一方で、2050年には2017年の3分の2に減少すると予測されています。(※1)

また、2022年現在、その人手不足を補ってくれている外国人労働者は、2030年には日本の至る所で不足するとの予測もあります。(※2)

日本の国際競争力がこの30年(1991年から2021年)で1位から31位に落ちている中、日本で働く魅力がどんどんなくなっていますし、出稼ぎしたい外国人労働者もわざわざ日本を選ばなくなっています。(※3)

この現実を直視するなら、企業には今、雇用・人材育成システムの聖域なき見直しが求められています。

人口減少のグラフ

まずは働き手のことを理解し働きやすい労働環境を提供する

人が辞めたらもう次の人は来ないかもしれません。

限られた人材をどうやって確保するか、また、働き続けてもらうか。

そのためにはまず働き手のことを理解し、働き方改革に取り組まなければいけません。
昭和からアップデートされていないような労働環境、経営陣と上司のマインドでは人材は離れていく一方です。

平成31年に総務省が正社員の男性・女性が仕事と家庭生活の時間のどちらを優先するかという調査をしました。
その結果、男性・女性共に約40%が家庭生活を優先すると回答しています。

(出典:「仕事と生活の調和」推進サイト https://wwwa.cao.go.jp/wlb/
資料のURL PDFファイルのP28 https://wwwa.cao.go.jp/wlb/research/wlb_h3103/5.pdf

近年、晩婚化が進み、2021年では女性の平均初婚年齢は30歳、男性は31歳で、40歳くらいで子供が生まれたという男性はゴロゴロいる時代です。(※4)

また、夫婦共働きで、かつお互い収入が同じくらいというのも当たり前になってきています。

働き盛りで会社の中核を担う30代40代の社員は、男性女性関係なく、バリバリ仕事をしながら育児や家事にも時間が必要なのです。

それから、働く女性の考えも変わってきていて、子育てしてから再就職をするのではなく、仕事と子育てを両立したいという人が増えてきています。(※5)

家族
親の介護

さらに、ダブルケアといって、親の介護と育児が同時に始まることも増えてきました。

親の介護を始めた年齢は35~44歳で約30%、45~54歳で42%(出所:総務省調査)ですから、育児と被るケースも多いわけです。

そんな事情を抱えた社員達に対して、経営陣や上司たちがあいも変わらず昭和のマインドで仕事の仕方を押し付けているなら、家庭生活を優先する人材が入ってこない、また、離職してしまうのは当然です。

家庭生活を優先できるような働き方ができる労働環境を社員たちに提供することでメリットを感じれる職場にし、働きたいと思ってもらえる人を増やし、かつ離職を防ぎ、長く働き続けてもらえるようにしなければいけないのです。

人間関係の離職が一番多い

人が入ってこないなら今働いている人を離職させないというのも大事なポイントです。

高卒社員が3年以内に退職する理由として一番多いのが人間関係の問題です。(※6)

人間関係で重要になってくるのはコミュニケーションですが、例えば部下に対して、イラストの高齢者のような「やっといて」「やっとけ」みたいな頼み方をしていませんか?

今の若手社員なら「もしできるならやっといてもらえると嬉しいんだけど」のような言い方がスタンダードになっています。

世代間ギャップを意識していかないと、知らず知らずのうちに部下にストレスを与え、部下の離職につながる原因を作り出しているかもしれません。

人材育成を「時間がない」で済ましていないか

人が入ってこないなら今働いている人を戦力アップさせるのも大事なポイントです。

ところが中小企業の人材育成に関するアンケート調査によると、約60%の中小企業が「特段の人材育成は行っていない」と回答しています。(※7)

製造業に限ってみると、総務省の調査からは、企業側で「指導する側の人材が不足している」「指導する側の能力や意欲が不足している」「指導される側の能力や意欲が不足している」という課題が浮き彫りになっていますが、そもそも人材育成をしていなければ指導する側もされる側も能力が上がらないのは当然です。

ものづくり人材の育成の課題

図:ものづくり人材の育成の課題
(出典:経済産業省 経済産業省 2018年版ものづくり白書:働生産性の向上に向けた人材育成の取組と課題より)

また、平社員から経営のトップまで、みんなが口を揃えたかのように人材育成に関して「時間がない」とおっしゃいます。

しかし、人が入ってこない、人が辞めてしまう問題ももはや「時間がない」のです。

まずは第一歩を踏み出す

人は入ってこないけれど、そうは言っても人は流動しているからまた入ってくる機会はあります。

ただ、今の若い人たちはすごくちゃんと選ぶので、何かしら他とは違う、うちはこういうことをやっているっていうところをアピールポイントにすることで人材確保につなげましょう。

まずは第一歩を踏み出してください。

「こんなことをやっても意味があるかな」と、結果を求めずに踏み出すことが大事です。

世の中にはさまざまな育成の情報はありますが、参考になったとしても、自分たちの会社のことは自分たちでやってみないことには育たないし、成長もしていきません。

最初の一歩

安定している企業は安心して働ける環境がある

マイナビによりますと、若者が企業を選択するポイントとして安定している会社を一番重視しており、その比率は年々上がっていく一方です。(※8)

知名度よりも、給料よりも、若者は安定を望んでいます。

では「安定している企業」とは何かと問いますと、「福利厚生が充実している」「安心して働ける環境である」という回答が多くあります。

労働時間や長期休暇、育児休暇、社員研修制度、資格取得支援金、リモートワークなど、働き方がある程度選べることが魅力になります。

御社ではどのような働き方を社員に提供できるか、じっくり考えてみてください。

無名であっても、給料が安くても、人が集まる、人が辞めない会社に変わっていけるかもしれません。

談笑する社員達

ミラクスではさまざまな企業の働き方改革に携わっております。
働き方改革の推進に外部の力が必要であれば、ぜひミラクスにご相談ください。

※1(出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位(死亡中位)推計を基に経済産業省が作成)

※2(出所:独立行政法人国際協力機構「2030/40年の外国人との共生社会の実現に向けた取り組み調査・研究報告書」を基に経済産業省が作成)

※3(出所:IMD “World Competitiveness Yearbook”)

※4(出所:人口動態統計)

※5(出展:静岡新聞 2022年10月30日号)

※6(出典:ライセンスアカデミー)

※7(出典:HR総研 人材育成「中堅社員研修・管理職研修」に関するアンケート調査)

※8(出典:マイナビHP 2023)

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