製造業のコミュニケーションの実際
製造業で、「他者に、嫌々ではなく自発的に動いてもらうにはどうしたらいいのか」というテーマで研修を行った際に、彼らから出てきた本音をまとめてみました。
現実の職場での人間関係とその傾向が見えてくるような気がしました。
職場のコミュニケーション状況
・何を言っているのか分からない人がいる。聞き直すとイライラしだすし、聞き直してもよくわからないので、スルーしてしまうことはある。それでも聞こうとするのであれば、人によりけりだとは思うが、その人との関係は悪化する
・自分の思いだけを話しても通らない。話し方の工夫はいろいろ必要だとは思うが、実際にやることは特に難しいと思った。依頼の断り方も感情的にならないようにしたいが、話しているとイライラしてくるので大変だ
村松の感想
話しが長引くとお互いがイライラし始める、ということが現実なのだろう。自分の裁量が少なく、時間に追われている作業をしているので、会話という作業をストップされる時間を極力減らしたいのかも知れない。
依頼すること、依頼を断ることについて
・依頼を断るのは、相手が困っている姿を見ながらなので断らなければならない状況でも断りづらい。断る方も、相手が嫌だと思っているのを痛感しながら頼むのは心苦しい
・自分の性格上断りづらいところがある
・断るよりも頼むほうが嫌だ。頼むことは職場では無いけど
・人に頼み事をや依頼をする際は途中で感謝の言葉をはさむと良い。
「例えばさあ・・・・・・、もしね・・・・」と仮定の話を入れたり、二者択一で選択してもらうのもスムーズに進める方法かも
・頼み事は押し付けになりがち
自分の意見を伝える場合
・自分の意見をやんわり伝えることに、どうやって話せばいいのか判断がわかりづらい
・話し方が丁寧すぎるとなんか胡散臭い気がする。聞く側としても疲れる
相手のことについて
・話す相手への気遣いが大切
・相手の感情が分かりにくいから頼むのっていやだ
・相手の立場を考えながら話すと嫌に気持ちにならないかな
村松の感想
仕事に関するコミュニケーションを取る際に、ネガティブな感情をお互いに持つかも知れない。だからなるべく簡単にコミュニケーションを切り上げたい。できればコミュニケーションを取りたくない。というのが本音だろう。
ただ、もう少し突っ込んで彼らの本音を分析してみると「相手が何を考えているのか分からないから」「相手の感情が分からないから」ということが出発点にあると思われる。
分からないからコミュニケーションを取らないのでは、いつまでたっても一緒に仕事をしている人のことが分からないのであり、うわべだけのやり取りで終始して、何かあった時にはお互いを責め合う、もしくは無関心を通すことになってしまう。
もし、そのような環境を変えたいのであれば、「分からないから話さない」のではなく「ぶつかってもいいから話してみる」を繰り返していかないといけないのではと思う。
更に言うと「相手の感情がお互いに分からない」のであれば「お互いが感情を言葉にして伝える」ということをしていくことが出来ればいいのではと考える。
職場では、感情的になるな、感情を顔に表すな、感情を職場に持ち込むな、などと感情をいけないものだととらえる傾向にあるが、いけないものだから伝えなくていいのだろうか、いけないものをお互いにこわがっているのであれば、それは見えないものを怖がっているだけなのではないだろうか。
一日のかなりの時間を過ごす職場で、人生の貴重な時間を過ごす職場で、このようなことが起こっているのは変だ、変えたいと思う人への支援を私は惜しまない。