組織文化と組織開発
長らく根付いてきた、その会社独特の“常識”=組織文化
組織文化はどこにもある。
組織にかかわる人たちで一定期間掛かって作りあげてきた、暗黙の了解というか、常識みたいなものだ。人がかかわって作りあげてきたものだが、文化として根付いてしまうと、その人たちが退職しても文化は残り続ける。
新しく組織に入ってきた人が、組織文化に気づいて違和感を感じたとしても、なぜそうなっているのか、皆がそれになじんでいるのがなぜなのかは、もはや誰も分からない。
昔からそうなっているから。皆そうしているから、なのだ。
例えば、風邪をひいて会社を休む時には、一般的には上司に電話を掛ける、もしくはメールを入れる。
ビジネスマナーからすると正解だろう。
新入社員向けの教科書にもそう書いてある。
しかし、ある企業では上司に連絡をする人もいるし、仲のいい人に連絡をする人もいる。
他の組織から来た人には理解できない、というか自分がどうしたらいいのか判断ができない。
先輩に聞いても、「どっちでもいいんじゃない?」という意味不明な答えが返ってくる。
「いつからそうなっているんですか?」と聞くと、「私が中途で入ったときにはもうそうなっていた」という返事なので解決の糸口がつかめない。
というのが組織(企業)文化である。
どこかの時点で、そういうことを注意したり修正する機能が働いていれば、そのような文化が根付かなかったのだが、一旦、組織に所属する人たちがそういうものだと受け入れてしまうと、それをあるべき姿に戻すことは非常にパワーがいる。
なぜならば皆そのようにしているほうが楽だし、そういうものだと言っておけば問題ないからだ。
だからといって企業文化を変えられないわけではない。
皆でじっくりと進めていくのが、組織開発
組織に所属する数名が変えようと思い行動し、他の人たちが消極的に賛同してくれれば、時間が経過すると別の文化に変えることができる可能性がある。このことを組織改革と呼ぶ。最初に変えようと思った人たちのことを改革者と呼ぶ。
組織開発とは、特に改革者を立てなくて実行できるものだ。
しかし時間は掛かる。
組織を変えていくエンジンに相当するものがなく、組織に所属する人たち皆で手で押していくようなものだからだ。
中には手を抜く人もいるだろう。触っているだけで力を入れていない人もいるだろう。そもそも、押すことに参加しない人もいるだろう。
でも、組織に所属する人の多くが、一定の方向を向いて歩き始めると、組織開発は進んでいく。
そんな姿を見てみたいし、そんなことに関わっていきたい、と思う。