製造業の新入社員とのコミュニケーション

作業現場での気づき(新入社員のエピソードより)

作業現場に配属になった、または間接で採用になったが作業現場に応援に出ている、という新入社員にコミュニケーションについて話を聞いてみた。

もくじ

新入社員の状況

現場作業の新入社員

現場作業が仕事の新入社員は、ある程度仕事を任されているので、少ないながらも仕事の内容について把握しており、私から仕事の心得などのことに関して質問したことに対して、説明できていた。

間接部門から応援に出ている新入社員

間接部門から応援に出ている新入社員は、自部署では仕事の説明を受けただけで実際の仕事を行う前に応援に出ているため、職場のルールとか、ホウレンソウについて社会人としての経験が少なかった。具体的には仕事の意味とか組織、ホウレンソウなどを自分の成長のために行っているという実感が少なく、今日与えられた作業を淡々とこなしている、という状態だった。

 新入社員が語ったエピソード(特に印象に残ったもの)

教えてもらっていないことが起こったとき、自分で考えた。どうしても分からなかったので上司に聞いたら「考えている時間も給料が発生しているのだから、考えている間仕事が止まっているということを認識するように」と言われた。これからは、自分で考えるのは無理だと思ったら、先輩に相談することにしようと思った。

ドアの向こうに人がいるかも知れないので、部屋に入る際に、ドアをノックするのは、他人を気遣うことをルール化していると感じた。

標準作業書を見ると、その作業を知らなくてもなんとか出来るので、作業を知らない人や作業が変わった人への気遣いだと思った。
私(村松)が「標準作業書を見ると、作業が出来るようになるのですか?」と尋ねたところ「ええ、まあ」とあいまいな答えだった。

これからやっていこうと思うこと

機械にトラブルが発生してホウレンソウしたいけど、部品名など専門用語が分からず正確に状況を先輩に伝えられないのが悔しい。早く専門用語を覚えて、先輩を機械のところまで連れて行かなくても済むようにしたい

現場で指示を受けるが一度だけでは聞き取れない。何回も聞きなおすことができず、良く分からないまま作業を続けていたら「何をやっているんだ」と注意されたことがある。一度言われたことを聞き返さないで済むよう人の話しを聞き取る力を身に付けたい

応援に入っている作業現場で、知らない人ばかりで孤独に作業を続けている。将来自分に後輩ができたら、自分から積極的に声を掛けてあげて、後輩には自分のようなさみしい思いをさせないようにしたい。

日ごろからコミュニケーションを取るようにしておくと、何も知らない自分が困ったときに助けてもらえるので頑張って自分から話しかけるようにしたい。

自分のやっている仕事をきちんとお客様に伝えられるようにするために、今は話すことがとても苦手だが、頑張ってコミュニケーション能力を身に付けたい。

私が感じたこと

新入社員研修の時から印象深かったことは、コミュニケーションを取ることにより人間関係を重視する考えが非常に高い5人だと思ったことだったが、社会人として約半年基本的な資質は変わらないと感じた。そう感じたのは、5人全員から出てきた、働いてきた感想には、ホウレンソウを含んだコミュニケーションについてのことが圧倒的だったからだ。

具体的には、学生時代にバイト先で仕事をする場所のコミュニケーションイメージを持っていたが、実際の職場は「全然コミュニケーションがない」「かなりコミュニケーションがとらない職場だ」「全く会話がない」という言葉で表現していた。人間関係を重視する資質を持っているかれらだからこそ、コミュニケーションを取る重要性と自分が望む職場のイメージとのギャップを言葉にしていた。

製造業では、現場の機械化が進み省人化、作業の標準化により決められたことを決められた通りに行うことが求められたことにより、コミュニケーションを取る必要が少なくなったと考えられます。ところが新しく組織に加わった人たちは、仕事を遂行することに関して誰かに尋ねたり、仕事をやり終えて大変だった、面白かったと感情の共有をしたいのですが、その場が限られているという現状なのかと思います。

彼らも数年たち職場環境に慣れると、この状況を受け入れて、それなりの人材として育っていくのだと思われますが、そうなるまでの期間は、組織の中でも異質なほど会話を取ってあげたり、気にかけてあげることが必要ではないかと感じました。

シェアしていただけると幸いです
もくじ