ある企業での部下育成に関する懇談会(オンライン)
昨日、製造業のリーダー達3名に、部下の人材育成について話を伺う機会を頂いた。
忙しい中、全員が初対面で、しかもオンラインでの会話だったが、1時間を拝借しいろんな話を聞かせてもらえた。
リーダーの方々は、A課長代理(40歳後半)、B係長(40歳代)、C係長(30歳代)。
3人とも人材育成の重要性は理解しており、忙しい中でも部下とのコミュニケーションを取る時間は確保していた。
更に話をする際には、できるだけ専念して部下からの話しを聴くことを徹底しているとのこと。
傾聴ができていると受け止めた。
本音が垣間見えた瞬間
話が進む中で、徐々に3人の特徴が見えてきて、本音も見えてきた。
あえて3人の方に、同時に問いかけて、お話を聞かせてもらった。
私たちと社員の方一人だけだと、事情聴取のようになってしまう恐れがあるのでそれを避けることと、他の方の話や様子が他の方への影響することで、参加している人たちに刺激が与えれられる効果を狙っているからだ。
30分を経過した時に、一番若いC係長に変化があった。
他の方の話を聞いている時に、天井を見上げるしぐさをしたので、こちらからすかさず、
いかがですか、C係長。
どの程度コミュニケーションがとれていますか?
と尋ねた。すると、本音で語り始めて下さり、
コミュニケーションといっても、ホウレンソウが十分にできていないですね。
自分は話しを聴いてあげたいと思っていても、部下が適切なタイミングで話しかけてきてくれているか、というと疑問です…。
とのことだった。それで、こちらから
C係長の思い描くホウレンソウが100だとすると、今の状態はどれくらいですか?
と尋ねたら
・・・・・・・10です
との回答だったので、こちらから更に問いかけた。
問いかけの難しさ
ではC係長。
今後どのようにして部下の話を聞いて、人材育成につなげられたらいいと思いますか?
そうですね、頑張って部下と話しをする時間をとって、こちらから一方的に話をしないで、部下が言いたいことを聞いてあげようと思います
と言ってくれた。
C係長とのやり取りを、後から振り返って思ったこと。
皆の話を聞いているときに、C係長の脳の中ではいろんなことが動き回り、どんどん活性化してきて「部下との会話」「人材育成」について、自分事として考えることができる脳になってきていた。
そんな時に、私からの「今後どうしたらいいですか」という質問は、C係長から「頑張ります」ということを半強制的に言わせてしまったのではないだろうか…?
結論を出すのではなく、考えてもらう
今回の懇談会は、参加者に考えてもらうことが目的で、結論を出してもらうのが目的ではなかったから。
もっともらしい、この場を収められるような答えを言うと、そこで会話がストップしてしまい、場合によっては脳の動きがとまってしまうかも知れない。それを考えたうえでの目的だった。
考えを深めてもらうことを意図していた中、C係長がせっかく自分事として、普段大事だと思っているけど手が付かない「人材育成」という重いテーマについて考え始めた時に、それを止めてしまう結果になってしまったかもしれない。
自分にとっては、問いかけの難しさに改めて気づく機会になったと感じた。