働きやすさって何だろう?

働きやすさってなんだろう

私自身の体験談を交えて、働きさすさとは何だろう?と考えてみます。

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働きやすさを押し付けられると、素直に喜べない

私が勤めていた工場は 8時30分始業、10時と15時に5分づつの休憩と12時から12時45分昼休憩、17時終業だった記憶があります。所定労働時間が8時間だったかな。

あるとき、何の前ぶれもなく、会社から以下のような通告がありました。

昼休憩を12時45分から10分延長して、12時55分までとする。
その目的は、社員の労働時間の短縮により働く環境を良くするためである。

その時のみんなの意見は「ざけんなよ、労働時間を短くするなら(休憩時間を長くするなら)昼休憩はそのままでいいから、10分早く帰してくれよ」というのが大半でした。昼休みにキチンと休める部署もありましたが、間接部門では電話の応対や資料作成をしている人たちも大勢いたので、実質労働時間の短縮にはならなかったわけです。結局、体裁だけ整えただけだ、と周りの人は解釈していました。

会社としては、本当に社員のためを思ってのルール変更だったかもしれません。確かに労働時間の短縮は働く環境にはプラスであれ、マイナスは少ないでしょう。
では、なぜこんなにすれ違いが生まれてしまったのでしょうか。私の経験では、会社は働く人たちに対して相談や意見を聞くことがほとんどなかったと記憶しています。そして一方的に「あなたたちのために変えたのだからいいだろう」と制度を押し付けられた、と感じていた人が多かったのだろうと思います。

どんな良い施策だとしても、社員に一方的に押し付けると会社の真意は伝わらないし、むしろ社員の反発を生む事態にもなり得る、ということを感じた経験でした。

働きやすさの工夫を取り上げないで

もう一つの体験談。

大都市で勤めていた時の、電車での通勤ラッシュ。今ではそれでも楽になってきてはいるだろうけれど、現在地方に住んでいる私からすると、もう二度と都会には住めないと思うくらい辛かったのを覚えています。

その通勤ラッシュを回避する方法として一時期、時差出勤の導入が叫ばれ、それなりに実施する企業があらわれ効果もあったのではとニュース番組などを見ていて気にしていました。

その後、2019年に働き方改革関連法案が施行され、働く人の健康を守るために労働時間の短縮を法律で明確にすることとし、実効性がある方策にするために労働時間の管理が今まで以上に厳格になりました。そのために会社に着いたら仕事しているものと解釈するようになり、仕事が終わったら会社に残らずに帰るというルールも徹底されるようになってきました。会社に残れば労働時間とカウントされる可能性があるわけです。これらは労働時間をキチンと把握することで、働く人の健康管理に資するということになっていますし、その通りだと思います。

しかし、大都市の電車の通勤ラッシュだけでなく、地方でも車通勤の大渋滞は、働く人にとってはストレスがとても溜まるものですね。大都市でも地方でも、早朝家を出てラッシュを逃れて会社に行く、という人が結構いますし、それを推し進めていたにも関わらず、今では早く出社することを阻害する方策に移行してしまいました。

働き方改革は大部分の人にとっては受け入れられるものであるでしょうし、企業まかせにしていてはなかなか進まない労働時間の短縮でしたので、そのこと自体を否定するつもりは全くありません。

ここで考えたいのは、全員一緒でいいの?個人ごとの選択肢は与えられないの?ということです。

  • ラッシュをさけて早く移動する人の行動を制限するのって、どうなのでしょうか?
  • 全員一緒というルールが果たしてどこまで合理的といえるでしょうか?
  • どこまで本当の意味での生産性向上となるのでしょうか?

個々の社員が工夫して働きやすくすることは、仕事自体のやりがいにも影響してくるでしょう。そう考えると、全員一律のルールを適用して管理すればいいという従来の考えのままでは、個々のパフォーマンスを上げる限界があるように思います。

まとめ

1人1人にとっての“働きやすさ”、もっというと価値観は皆違うからこそ、会社がそれを知ろうとする努力は必要です。
働き方改革とは、ルールや制度の改革という側面があるのはもちろんですが、「うちの社員はどんなことを考えているのか?」を知り「何のために行うのか?」というビジョンやマインドを共有することを抜きにしては、本当の意味での改革にはならないでしょう。
従来の考え方を“変える=改革”する覚悟ができた時が、改革のスタートになると思います。

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